羊の水海

ぼくとパンツと綺麗な女の子

 ぼくのクラスにとても綺麗な女の子がいます。小学生なのに、とても大人っぽいです。それは150センチぐらいの身長や、鼻筋がまっすぐな外見もそうなのですが、ぼくが特に大人っぽいと感じるのはその知識量です。授業で教わることはもう既にほとんど知っているようで、こないだはさんかくかんすうとか書いてある本を読んでいました。ぼくは気になって、ちょっと見せてもらったのですが、まったくちんぷんかんぷんで、「どこの国の言葉?」と聞くと笑われてしまいました。ぼくは顔が真っ赤になり、笑った彼女の顔が気にくわなかったので顔面にビンタしてどっちが偉いのかを見せつけてやりました。

 その頃、ぼくのクラスではスカートめくりが流行っていました。クラスで一番のエロガキで悪ガキなケンタくんはほとんどの女子にスカートめくりをして、たくさんの量のパンツを見たらしく、「さとみのパンツは真っ白で興奮した」「ゆかは真面目そうなのに紫色のパンツを履いてやがった」「はなこのパンツは白色だったけど一カ所だけちょっと茶色だったなあ」などと恍惚に語っていました。ぼくは女の子のパンツに、さして興味もなかったので「おい!! 写真ぐらい撮れよ!! は? 撮ってないって!? 馬鹿じゃねーのか。ほら、二万やるからみんなのパンツの写真撮って来い」とあくまで冷静に言いました。ケンタくんはゴリゴリの一眼レフを持ってスカートをめくろうとしていたのを先生に見つかって怒られました。ぼくはその光景を爆笑しながら見ていたのですが、途中でぼくの名前を出したらしく、ぼくまで怒られることになってしまいました。まったく、友達思いの無い薄情なやつだとぼくは彼と絶交することにしました。慰謝料代わりに彼の大事にしていた、亡くなった祖父からもらったという高級そうな万年筆をポケットに入れて頂きました。

 その帰り道、目の前にはぼくのクラスにいるとても綺麗な女の子が歩いていました。彼女はスカートを履いていました。「こいつはパンツまで大人ぽかったりするのかな? ガーターベルトとかTバックとか履いていたりして……ふひひ!」と思って、そっと彼女の後ろに近づきました。足音を消して忍びよるぼくを、近くにいた外人が指さして「Oh! ニンジャボーイ!」とか言ってました。ぼくが勢いよく彼女のスカートをめくり挙げると、そこには、

 車のプリントがされているパンツがありました。案外子どもっぽいパンツ履いてるんだな。ふんどしぐらい履いとけよと唾を吐き捨てたぼくを、顔を真っ赤にした彼女が思いっきりビンタしました。
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